資源国ミャンマーの実態


NHK論説委員による資源国ビルマミャンマー)の実態についての解説。
天然資源がその国に如何に優位なものになるかの証左が、ビルマにおける天然ガスの存在。特にビルマの近隣諸国、タイ、インド、中国はその天然ガスを巡ってビルマを陣営に引き込もうとして丁々発止を繰り広げている。その上でビルマ軍事政権は天然ガスを武器に自国の外交に有利になるように動いている。何しろビルマ天然ガスの発掘量では東アジアで3位という。これだけ考えても、ビルマという国が例えば中東の産油国と同じ外交手法を採ることができるという明らかな証拠である。本来、現軍事政権に打撃を与えるのなら上記の取引国に天然ガスの取引中止を受け入れさせればいいのだが、欧米諸国も含めて「政治と経済は別」という論法をとっているかぎりそれは無理と言うもの。そのかわり、これまで欧米諸国の行ってきた経済制裁は、ビルマ唯一の輸出産業である縫製産業を壊滅させ、そこで働くビルマの一般市民の大量失業という状況を作り出した。天然ガス産業は縫製産業のように市民の雇用も生まず、それで得た利益はほぼ全てが国防費、特に中国からの武器購入に充てられる。つまり、中国にとってはビルマ軍事政権は上顧客というわけ。だからこそ国連の民主化運動弾圧の非難声明に及び腰だったのである。